「墜落制止用器具」特別教育の義務について
★ 目 次
1.特別教育概要
参考:特別教育について(安衛則第36条、安全衛生特別教育規程第24条)
事業者は、高さ2メートル以上の箇所であって作業床を設けることが困難なところにおいて、墜落制止用器具のうちフルハーネス型のものを用いて行う作業に係る業務に労働者を就かせる時は当該労働者に対し、あらかじめ次の科目について学科、及び実技による特別の教育を所定の時間以上行うこと。
ただし、一定の経験がある方については、一部の科目の省略が可能です。
2.特別教育の科目について
★ 特別教育の内容
1.学科教育
科目 | 範囲 | 時間 | |
---|---|---|---|
A | 作業に関する知識 | ① 作業に用いる設備の種類、構造及び取扱い方法 ② 作業に用いる設備の点検及び整備の方法 ③ 作業の方法 |
1時間 |
B | 墜落制止用器具 (フルハーネス型 のものに限る。以 下同じ。)に関する知識 |
① 墜落制止用器具のフルハーネス及びランヤードの種類及び構造 ② 墜落制止用器具のフルハーネスの装着の方法 ③ 墜落制止用器具のランヤードの取付け設備等への取付け方法及び選定方法 ④ 墜落制止用器具の点検及び整備の方法 ⑤ 墜落制止用器具の関連器具の使用方法 |
2時間 |
C | 労働災害の防止に 関する知識 | ① 墜落による労働災害の防止のための措置 ② 落下物による危険防止のための措置 ③ 感電防止のための措置 ④ 保護帽の使用方法及び保守点検の方法 ⑤ 事故発生時の措置 ⑥ その他作業に伴う災害及びその防止方法 |
1時間 |
D | 関係法令 | 労働安全衛生法、労働安全衛生法施行令及び 労働安全衛生規則中の関係条項 | 0.5時間 |
2.実技教育
科目 | 範囲 | 時間 | |
---|---|---|---|
E | 墜落制止用器具の使用方法等 | ① 墜落制止用器具のフルハーネスの装着の方法 ② 墜落制止用器具のランヤードの取付け設備等への取付け方法 ③ 墜落による労働災害防止のための措置 ④ 墜落制止用器具の点検及び整備の方法 |
1時間 |
★ 特別教育の科目が省略できるか確認
厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課による回答文
特別教育の科目の省略
一般には、必ずしも全員ではなく、高さが2メートル以上の箇所であって作業床を設けることが困難なところにおいて、フルハーネス型墜落制止用器具を用いて行う作業に係る業務に就く者に対しては、2019 年2月1日までに特別教育を行わなければなりません。
ただし、一定の経験のある者については、以下のとおり、一部の科目の省略が可能です。(平成 30 年6月 22 日付け基発 0622 第1号)
① 施行日(2019 年2月1日)時点において、高さが2メートル以上の箇所であって作業床を設けることが困難なところでフルハーネス型墜落制止用器具を用いて行う作業に6月以上従事した経験を有する者は、「作業に関する知識」、「墜落制止用器具(フルハーネス型のものに限る。以下同じ。)に関する知識」、「墜落制止用器具の使用方法等」の科目を省略できます。
② 施行日(2019 年2月1日)時点において、高さが2メートル以上の箇所であって作業床を設けることが困難なところで胴ベルト型を用いて行う作業に6月以上従事した経験を有する者は、「作業に関する知識」の科目を省略できます。
③ 足場の組立て等特別教育受講者又はロープ高所作業特別教育受講者は、「労働災害の防止に関する知識」の科目を省略できます。
なお、改正省令公布後施行日(2019 年2月1日)より前に、改正省令による特別教育の科目の全部又は一部について受講した者については、当該受講した科目を施行日以降に再度受講する必要はありません。
注意
・「フルハーネス型安全帯を使ったことがある」
・「◯年以上前からたまにフルハーネス型安全帯を使っていた」
このように継続して6ヶ月以上従事していない場合は受講が必要となります。
3.特別教育についてのよくある質問
Q.高さ2メートル以上の箇所でフルハーネス型を使っている人は、全員、特別教育 を行わなければならない?
A.法令で特別教育が義務付けられるのは、「高さが2メートル以上の箇所であって作業床を設けることが困難なところにおいて、フルハーネス型墜落制止用器具を用いて行う作業に係る業務」に限られます。
したがって、作業床が設けられている箇所においての作業、胴ベルト型墜落制止用器具を用いて行う作業については、特別教育は義務づけられません。
なお、旧規格に適合しているフルハーネス型安全帯を使用して、高さが2メートル以上の箇所であって作業床を設けることが困難なところにおいて作業を行う場合においても、特別教育は必要です。
Q.高所作業車を用いた作業についても特別教育を行わなければなりませんか?
A.高所作業車のバスケット内での作業であれば、通常、作業床があると認められるため、特別教育は義務付けられません。
なお、高所作業車のバスケット内で作業する場合であっても、高さが 6.75 メート ルを超える箇所で作業を行う場合には、フルハーネス型墜落制止用器具の使用が義務付けられます。
Q.「作業床」とはどのようなものですか?
A.法令上具体的な定義はありませんが、一般的には、足場の作業床、機械の点検台など作業のために設けられた床を指します。
また、ビルの屋上、橋梁の床板など、平面的な広がりを持った建築物の一部分であって、通常その上で労働者が作業することが予定されているものについても作業床となると考えられます。
具体的な判断は、所轄の労働基準監督署にご相談ください。
Q.身を乗り出す作業、手すりがない場所や開口部での作業をする場合、特別教育は、必要ですか?
A.一般的に、作業床上での作業であれば特別教育は義務付けられません。具体的な判断は、所轄の労働基準監督署にご相談ください。
なお、高さが2メートル以上の作業床の端、開口部等で墜落により労働者に危険 を及ぼすおそれのある箇所には、囲い、手すり、覆い等を設けること又は労働者に 墜落制止用器具を使用させること等が義務づけられます。
Q.高さ2メートル以上の箇所でフルハーネス型墜落制止用器具を着用して通行や昇降をするだけの場合、特別教育は必要ですか?
A.法令上の定義はありませんが、一般的に、「通行」とは、通っていくという意味、「昇降」とは、昇ったり降りたりするという意味であり、それ以外の行為(工事の 進捗確認、現場巡視、点検など)は、「通行」や「昇降」にはあたりません。
ただし、昇降を主たる目的として、昇降しながら昇降用の設備(はしご等)の健 全性等を確認するような場合は「昇降」に含まれます。
Q.特別教育は、2019 年2月1日までに、全員が受けなければならないのですか?また、特別教育を受ける際、経験に応じて省略できる科目等はありますか?
A.一般には、必ずしも全員ではなく、高さが2メートル以上の箇所であって作業床を設けることが困難なところにおいて、フルハーネス型墜落制止用器具を用いて行う作業に係る業務に就く者に対しては、2019 年2月1日までに特別教育を行わなければなりません。
ただし、一定の経験のある者については、以下のとおり、一部の科目の省略が可能です。(平成 30 年6月 22 日付け基発 0622 第1号)
① 施行日(2019 年2月1日)時点において、高さが2メートル以上の箇所であって作業床を設けることが困難なところでフルハーネス型墜落制止用器具を用い行う作業に6月以上従事した経験を有する者は、「作業に関する知識」、「墜落制止用器具(フルハーネス型のものに限る。以下同じ。)に関する知識」、「墜落制止用器具の使用方法等」の科目を省略できます。
② 施行日(2019 年2月1日)時点において、高さが2メートル以上の箇所であって作業床を設けることが困難なところで胴ベルト型を用いて行う作業に6月以上従事した経験を有する者は、「作業に関する知識」の科目を省略できます。
③ 足場の組立て等特別教育受講者又はロープ高所作業特別教育受講者は、「労 働災害の防止に関する知識」の科目を省略できます。
なお、改正省令公布後施行日(2019 年2月1日)より前に、改正省令による特別教育の科目の全部又は一部について受講した者については、当該受講した科目を施行日以降に再度受講する必要はありません。